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もっと知ろうエイズ

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって起こる病気をエイズ・後天性免疫不全症候群といい、治療法の確立していない現在では死に至る病です。さらに、その病気の正しい知識の普及や、不幸な患者に対する偏見をなくすなど、たくさんの難しい問題があります。

 HIVはヒトの血液の中に入るとT‐4リンパ球を破壊して全身の免疫力を失わせ、身体の抵抗力をなくさせてしまう恐ろしいウイルスです。一般的には感染性の弱い病原体によるカリニ肺炎や、身体全体に紫がかった結節が出来て衰弱するカポジ肉腫、痙攣や意識障害を繰り返すエイズ痴呆など悲惨な病状を呈し、発症すると50%以上の者が1年以内に死亡してしまいます。エイズに感染してから約3ヶ月たたないと、血液反応も陽性になりません。インフルエンザに似た症状を起こしても、2週間以内に治ってしまい、早くて1年、平均2?5年して本格的な症状が出現してきます。ですから無症状感染者、いわゆるエイズキャリアーとの性行為などを通じて、感染者の爆発的増加を起こしているのが現実です。

 2002年7月、国連エイズ合同計画の発表ではエイズ発病者及びHIV感染者の総数は2年前の3,400万人から4,000万人強に増大したと報告しています。日本で届け出された実数は2002年迄にHIV感染者3526名、外国人別にみても極めて内容は多彩で統計に現れない数ははるかに多いものと推定されています。

 感染経路も、麻薬等の静脈注射による感染や母子感染に比べると、圧倒的なのが性的接触によるもので、単にホモセクシャルグループに播がる特殊な疾患ではありません。コンドームの使用だけで完全な予防ができるといった考えは通用しません。放置しておくと、国を亡ぼしかねない恐ろしい病気です。エイズに対する正しい知識を持ち、理性的に対応することが強く求められています。

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