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逆流性食道炎

 食道は水や食べ物が通らないときには、内腔は平べったく閉じています。また食道の末端にある筋肉が縮んで胃の入り口をしっかりと閉めています。その結果、胃の中の食べ物や胃液が食道に戻ることはありません。

 けれども食道の巾着がゆるんでしまうと、胃液が容易に食道に逆流してしまいます。つまり、直接の原因は巾着のゆるみですが、なぜゆるみが起きるのでしょうか。一つは歳をとってくると筋力が低下してきます。もう一つは食べ物との関係が指摘されています。洋食が多くなり、脂肪の摂取が増えると、筋力が弱まるとも言われます。その結果、食道の通り道である横隔膜にある裂け目が緩んで腹部の食道や胃が胸の方へ脱出してしまいます。つまりヘルニアとなったりします。また、お腹が張ったりして、腹部の圧力が高くなるとよけいに胃液が食道に逆流しやすくなります。

 胃液が食道に逆流すると食道の粘膜は胃の強い酸でただれてしまいます。ひどい場合には深い縦型の潰瘍となったり、お互いに融合したりして全周にできてしまう場合もあります。

 逆流性食道炎で最も多い症状は胸やけです。次にみぞおちの痛みや胸のつかえ、不快感などです。その他いわゆる胃のもたれなどがあります。ですからいままで慢性胃炎の症状と思われていたのが意外と逆流性食道炎の症状であることが多いのです。今では、胸やけや胃の不快感があるとまず一番に逆流性食道炎があるのではと疑うくらいです。

 食道炎の診断には、以前はX線写真を撮っていましたが、かならずしも容易ではありませんでした。最近では、食道の内視鏡検査つまり胃カメラで直接観ることができるようになりました。また同時に食道がんの検査も行えますので、食道がんの早期発見にも役立ちます。食道炎の治療ではよく効く薬があり、使用期間が8週間と決められています。食道炎が治って薬を止めるとすぐに症状がでてきてしまうことがあります。最近では8週間すぎて、半量を持続的に使用する、維持療法が保険で認められました。内服薬で治らない場合は手術をしなければならないこともあります。