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脂肪肝

最近は健康診断などで検査を受けて、脂肪肝といわれる方も多くなっています。実際に以前よりかなり増えています。

それでは脂肪肝とはどういうことでしょうか。肝臓の細胞内にトリグリセライドつまり中性脂肪がたくさん溜まった状態です。したがって直接肝臓の表面を見れば黄色くなっています。脂肪肝の原因は何よりもカロリーの摂り過ぎが一番です。脂肪だけでなく、アルコール飲料や糖分の過剰摂取です。また肥満はこれを助長しますし、体質も関係しています。その他、遺伝性、家族性の特殊な例もあります。脂肪はカロリー源として重要な物質ですが、使われなければ蓄積されます。つまり運動不足のため消費されずに、肝臓に溜まるわけです。糖尿病が原因で生じる脂肪肝が最も多いとされています。

一般に脂肪肝の自覚症状はありませんが、血液の検査でいわゆる肝機能検査でのGOT(ジーオーティー)、GPT(ジーピーティー)などが正常より2~3倍位高いことが多く、その他ビリルビンという色素が増えて、軽い黄疸を伴うこともあります。また多少疲れやすいこともあります。

従来は脂肪肝がさらに進んで重大な疾患になるということは無いと考えられていました。しかし、その中でアルコールを飲まないのにアルコール性肝炎と似たような肝組織の炎症が起こって、肝硬変症を発症したり、肝がんの発症する症例があることが分かってきました。これを非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼び、研究が進められています。これは糖尿病や高血圧症など基礎疾患があって、何らかの要因や有害物質作用が加わって、肝での持続的炎症が起きるのではないかと考えられています。

治療としてはまず食事療法です。つまり脂肪や糖分、アルコールを摂り過ぎないようにコントロールすることと、蛋白質や緑黄色野菜、ミネラルなど栄養素のバランスをとることです。次に運動療法です。いったん肝臓や内臓に蓄積した脂肪は燃やさなければ取れません。これには筋肉運動の際に酸素を摂り入れて脂肪を酸化、分解することです。運動療法は急に激しく行うのはとても危険です。まず準備運動を行ってから徐々に運動を始めましょう。手始めには早歩き、つまり時速5kmで、30~40分位歩くのがよいでしょう。