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食中毒の予防対策

 ここでいう食中毒とは細菌感染による腸炎などを指しています。

 まず初めに細菌性食中毒の最近の動向について見ますと、一番多いのは腸炎ビブリオで、またサルモネラ属、カンピロバクターなどです。病原性大腸菌もいろいろの種類があり、4年前のO‐157による集団食中毒では全国で1万人を超え、そのうち12人が死亡しています。その他、黄色ぶどう球菌などによる集団食中毒もしばしば発生します。集団食中毒のみでなく、散発性の食中毒でも新しい細菌による食中毒が著しく増加しています。

 腸炎ビブリオ菌による食中毒はつゆ明けとともに始まります。腸炎ビブリオ菌はもともと好塩菌と言われていましたように、塩水つまり海水中でも増殖できます。獲りたての新鮮な魚でもこの菌に汚染していれば、生で食べると食中毒を起こします。なまものを摂ってから数時間から12時間位で非常な腹痛、嘔吐などが起こり、コレラのような水様便が頻繁に出るようになります。このため、脱水症などを来します。老人や慢性の病気を持っているひとでは重体に陥ることもあります。点滴注射などの処置が必要となることもあります。暑いさかりのときは刺し身やたたきなど生物などは避けましょう。

 最近は新顔のサルモネラ菌による食中毒も増えています。家畜やペットなどに広く分布しているサルモネラ属の細菌は2,500種類もいます。そのうちで近年著しく増えている食中毒の原因菌にサルモネラ・エンテリティディス則ちSE菌といわれる病原菌があります。SE菌は生卵、ティラミス、自家製マヨネーズなどで見つかり、汚染した卵を生で食べたり、使用した食品をそのまま食べて発病しています。健康な成人では下痢、発熱程度ですんでしまいます。しかし、こどもや老人、体の弱った人では死亡することもあります。その他、カンピロバクターや病原性大腸菌O‐157などいろいろな細菌による食中毒があります。これらの菌による食中毒を予防するには生産者や流通での注意が必要ですが、家庭でもできる対策もあります。調理には十分火を通すこと、生物が触れた調理具や食器は熱湯消毒すること、調理した食品はすぐに食べることなどです。