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注意しよう、貧血が続いたら

 貧血とは血液の赤血球数が少なくなったり、血液の赤い色が薄い場合などを言います。ですから急に血の気が引いたりして、気分が悪くなったりするいわゆる脳貧血とは違います。次に貧血があるとどういう症状があるのでしょうか。

 一番はからだがだるく、寒さをひと一倍感ずるようになります。心臓や肺に負担がかかるため、普段はなんでもない階段や坂道などでも息切れや動悸がしたりします。さらに貧血が進むと、皮膚や粘膜の赤みがなくなり少し黄色く見えます。また、脚がむくんだり、微熱が出たりすることがあります。まわりの人に顔色が悪いといわれることが多くなります。そのような症状があれば、出来るだけ早く医師にかかりましょう。しかし、貧血があってもあまり症状に気づかずにいて、検診などで偶然にみつかることもあります。

 貧血はその原因によって5通りに分けられます。第一は鉄欠乏性貧血です。その名の通り血液中の鉄分が不足して起こります。そのほか蛋白質など栄養不足によっても起こってきます。鉄剤をのむか、注射で補えば治ります。第二は巨大な赤血球が見られる巨赤芽球性貧血と言われる貧血症です。ビタミンB12や葉酸摂取の不足で起こります。ビタミンB12の不足は、これらを含む食品の摂取不足で起こることは稀で、ビタミンB12を十分に吸収できないなんらかの原因があることが多いのです。ビタミンB12を吸収するには、胃液中に含まれる内因子と言われる物質の助けがいるため、萎縮性胃炎や胃の切除を受けている場合にその内因子の不足が起きてその結果、貧血が起こってきます。また、葉酸の不足は、妊娠、腸の病気や抗けいれん剤の服用、寄生虫病や肝臓病、低栄養状態などで起こってきます。ビタミンB12の不足は注射で補うのが確実です。葉酸の不足は錠剤の服用か、注射をします。第三は溶血性貧血といわれる貧血症です。これは、先天性と後天性に分けられます。先天性は、生まれつき赤血球の中に欠陥があって、赤血球が破壊されやすいために溶けてしまうことが多いのです。脾臓の摘出術が行われます。後天性の場合は、自己免疫性溶血性貧血が代表です。これらは何らかの原因で自分の赤血球に対する抗体という蛋白が出来て、血球が溶ける現象です。この場合には、副腎皮質ホルモン剤の内服か注射で軽快しますが、時に脾臓を摘出することもあります。第四は再生不良性貧血です。骨髄での赤血球を作る機能が衰えて起こりますが、その原因が不明なことが多いのです。軽症であれば輸血せずに薬で治療しますが、輸血をしなければならないこともあります。第五は続発性と言われる貧血です。これはいろいろな急性疾患や慢性疾患による出血、あるいはがんや白血病など元の疾患があって起こる貧血です。それゆえ原因疾患の治療が必要です。