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熱性けいれん

子供が熱を出した際に「けいれん」又は「ひきつけ」等と呼ばれる、意思と関係の無い急激な筋肉の強直と弛緩を交互に繰り返す様な症状を呈し、しばしば意識も失ったりする場合が有ります。この殆どは熱性けいれんと呼ばれる良性の神経疾患です。

多くの場合、生後半年から1歳半迄の時期に赤ちゃんが初めて高熱を出す病気である突発性発疹の折にみられ、確率は30数人、即ち一クラスに一人位なので、運次第では該当してしまいます。しかし予後は良く、熱性けいれんでは知能や運動機能に後遺症を残す事はありません。また数日間続く発熱を1回として数えると、一生の内に1回だけのエピソードで終わり、もう2度と発作を起こさないパターンが5割、そして9割以上が幼稚園頃迄に5回以下しか起こさないパターンに含まれます。

発作の多くは肘や膝の左右対象なゆっくりとした曲げ伸ばしに始まり、次第に腕や足全体、そして全身のバタンバタンとした海老反りと縮めを繰り返す全身性間代性けいれんに移行し、その後ぐったりとなります。この発作の持続時間は母親の体感時間は兎も角、実測で約半数が30秒以下と短く、20~30分を越す事は先ず有りません。従って119番したとしても救急車が来て呉れる頃には、多くの場合既に発作は終了しています。

御母様への御願いとして、若しも発作に遭遇した時が食事中であったら横に寝せ、口の中の物を掻き出す位で止め、割り箸やスプーン等を口に突っ込まないで下さい。またバタンバタンと動いている手足を無理に抑え込まないで下さい。意識下の運動と異なり、筋力にリミッターが掛かっていませんので関節が外れたりする可能性が有ります。そして若し余裕が有りましたら、手足と眼の動きについて左右の対称性と順番を観察しておいて下さい。受診時の鑑別診断に非常に有用な情報と成ります。