保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

健康ファイルボックス

病気や健康に関する知識をお届けします

TOP > 健康ファイルボックス > 小児科 > アデノウイルス感染症

アデノウイルス感染症

 アデノウイルスのお話をする前に、ウイルスとはどんなものかということからお話しましょう。みなさんはこのウイルスというものは非常に小さい生物だということはよく知っていると思います。その他に、いくつかの特徴があります。まづ、普通の顕微鏡では見ることができません。電子顕微鏡という特殊な顕微鏡でのみ見ることが出来ます。また、ウイルスは生きた細胞の中でのみ増え、増えるときには爆発的に増えるという特徴もあります。

 ウイルスにはいろいろな種類がありますし、一種類のウイルスでもいろいろな病気になる場合もあります。今日お話するアデノウイルスもいろいろな病気を引き起すウイルスです。このアデノウイルスによって引き起こされる病気のうち、子どもの場合に最も多いのは咽頭結膜熱といわれるものです。この病気は幼児期の子どもに多く、咽頭(のど)が赤くなって痛くなり咽頭扁桃炎となって高い熱が出て、眼(め)も赤く腫れる結膜炎などもおこすものです。別名プール熱ともいわれていますからご存知の方も多いとおもいます。

 咽頭結膜熱以外にもいろいろな症状を出す場合があります。これはアデノウイルスの中にいろいろな種類があるからです。例えば、いままでお話した咽頭(のど)や目に炎症を起こすほかに、肺炎を起こす場合もありますし、胃腸炎をおこしたり、ときには髄膜炎をおこしたりすることもあります。

 このように一口にアデノウイルスによる感染症と言っても多くの病気があり、症状も多彩です。

 ではもしもアデノウイルスに感染したらどうしたらよいでしょうか。アデノウイルスの感染に対して特効薬はありません。従って、それぞれの症状に対する対症療法しかありません。つまり、発熱していたら氷枕や氷のうを当てる手当てをしましょう。咽頭(のど)の症状が強いときは小児科医の診察を受けましょう。また、眼の症状が強ければ眼科医の診察も受けるとよいでしょう。それぞれの病気で二次感染、つまりウイルスによって起こった炎症の部分における細菌の増え具合によっては抗生物質が必要な場合もあります。いづれにしろ、早目の診察をうけましょう。