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子どもの頭のかたち

 頭の形はヨーロッパ系の長頭であるとかアジア系が短頭である傾向がありますが、人種別にも色々で、最近のMRIやCTの水平断面で見ると正円に近いものや楕円形の型をとるものやいびつの型のものなどさまざまです。

 頭蓋骨は前頭骨、両方の側頭骨それに後頭骨の四つの骨で形造られています。北京原人やネアンデルタール人の骸骨をみると、頭蓋骨が小さく従って額の面積が比較的小さく、頭蓋骨の包む脳の容積も小さくなっています。

 現代人は各々がバランスよく発達して、左右の大脳、小脳、脳幹をかこんでいることになります。生まれたばかりの頭蓋骨は、各々四つの部分に分かれていて、大泉門と小泉門が開放されて組み合わせられています。ですから分娩の時は狭い産道を軽く回転しながら娩出され易すくなっています。幼児の前頭頂部をそっと触ってみると、大泉門の所で、脳が拍動してるのが解ります。小児の頭囲は後頭結節から前頭部にかけて計測しますが、男児は平均36cm、女児は平均34cmが出生時の標準値で男女共97%近くがややそれを上回って成長していきます。2歳頃まではゆっくりと放物線を画いて増大します。2歳児に男児は平均50cm、女児は平均49cm位ですが、それから頭囲は増大の速度を上げて12歳時には各々56cm、54cm迄成長することが知られています。

 水頭症というのは脳の内の髄液の保存されている脳室が、脳室内腫瘍によって髄液産生が過剰になったり、4つある脳室を結ぶ連絡路が炎症で閉塞したりして、拡大する状態をいいます。頭蓋骨が成長してしっかりと骨縫合が完成される前ですと、頭囲がどんどん大きくなり、両方の瞳孔が沈下して、いわゆる落陽症状といわれる特異的な顔つきになります。早期に発見して外科的処置が行われなければなりません。逆に胎児の時から既に骨縫合が完成されて脳の発育を妨げられてしまうのが小頭症で多くの場合小脳症を合併しているので知能の発育を期待できない場合が多いようです。クルゾーン氏病といわれる先天異常などもその一例です。母親が妊娠中にビタミンDを必要以上に摂取したために、正常頭蓋骨間の骨形成が増大して早期に閉じて小頭症になった例もあります。

 頭の形が扁平だとか尖んがっているとかをあまり神経質に気にすることはありません。頭蓋骨の中にちゃんと大脳、小脳、脳幹が揃っていればよいわけですし、幼児の時の枕の型や寝かせ方が影響するという考え方は正しくありません。頭の形や位置が不自然と感じられたら、先づ医師に相談することが大切です。