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子どもの病気と市販薬

 子どもは元気に遊んでいたと思ったら急に咳や鼻汁(はな)がでたり、熱がでたりします。また、急に吐いたり下痢をすることもあります。こんなとき近くの薬局などでいわゆる風邪薬を買い求めることが多いと思います。これは丁度お菓子を買うのと同じようにとても便利です。市販薬を買うときと普通の商品を買うときとを比較した場合、強いて異なる点を見つけるとすれば買う人は多少の症状を言うことと売る人が多少の説明をして販売するということくらいです。

 しかし、市販薬を購入して病気を治そうとする場合に注意しなければならないことがあります。それは市販薬を買って飲む場合は、症状の内容や程度を聴き、体温の変化、喉(のど)の状態、呼吸の状態、下痢や嘔吐の状態、尿の量や色、などの多くのことがらを総合的に判断したうえで薬を出すわけではありません。言い換えるならば、高熱の場合も平熱の場合も、軽い咳の場合もひどい咳の場合も、心配ない軟便の場合もひどい下痢も、買い求めるひとは誰でもほぼ同じ内容の市販薬を買って飲むわけです。いわばいろいろな程度の病気のひと、つまり不特定多数の人が自由に買って飲むことになります。そして、その結果がどのようになったかもわかりません。

 また、子どものために市販されている風邪薬にはいろいろな種類のシロップが売られています。よくあることですがこれらシロップの風邪薬を買って数回飲んで症状が軽快した後、保存しておいて後に再度飲ませることが多いようです。しかし、一度開封して長期間経った水薬を飲むことは危険の伴うものです。このようなことは止めましょう。

 総じて言えることは、市販薬を飲むということは医師にからだ全体を診察して適切かつ必要なだけの量の薬を処方されて服用するわけではありません。

 本来、薬はヒトのからだにとってあまりよくないものです。しかし、いろいろな病気になってしまった場合、その病気を治すために止むを得ず薬を服用します。

 子どもに何か心配な症状があるときはまず小児科医を受診しましょう。そうすれば無駄な出費をしなくてすみますし、何と言っても薬を必要最小限で済ませることができます。子どものからだのために是非ともそうしましょう。