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耳式体温計

 以前は家庭で使われる体温計の主流は水銀体温計でした。つまり、ガラスで出来た棒状のものに水銀が入った体温計でした。現在では電子式の体温計が殆どで、先にセンサーのついたタイプや耳の穴に差し込んで計るタイプなどがあります。

 そもそも、家庭で体温を計る目的はからだの状態を把握する指標の一つです。乳幼児の場合は自分から熱があると訴える訳ではありませんから、からだの状態を知る手段としてとても重要なものです。また、予防接種を予定しているときなど、体温を計ることは欠かせません。そんなとき、体温を正確にはからなければならないのは言うまでもありません。

 一般に、体温を出来る限り正しく計るには水銀式体温計では5分から10分、電子体温計でも2、3分計らねばならないと言われていました。乳幼児の体温を計る場合、たとえ2分でも我慢させるのはなかなか大変で一苦労です。

 いまから約10数年前に2、3秒で計れるという耳式の体温計が発売されて話題になりました。お母さんにとってはとても便利なものですから大変普及しました。水銀式であれ耳式体温計であれ、体温が正しくはかれば問題ありません。しかし、実際に使ってみますと幾つか問題点があるようです。

 まず第一に、耳式体温計は鼓膜や耳の内部から出ている赤外線の量をはかってそれを温度として表示したものです。つまり、鼓膜やその周辺の温度そのものをはかっているのではないということです。従って、耳式体温計の場合は体温計の先端が正しく鼓膜に当っていないと正しく計ることができません。

 一方小児の外耳道、つまり耳の穴から鼓膜までは少し曲がっています。すると体温計の先端を鼓膜に正しく当てていなで体温を計っているこがあります。そんなこともあり、実際の体温より低めにでてしますこともあるようです。

 どんなタイプの体温計で計るにしても、正しい使い方によって、正確な体温を把握することが大切です。