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くも膜下出血とは

  脳の血管が破れたり、つまったりする病気は、年齢の増加に伴って色々な型となって表れてきます。それを脳卒中と呼んでいますが1980年頃まではガンや心臓病で死亡する人よりずっと高い死亡率を示していました。

  脳卒中全体のうち10%を占めるくも腹下出血は、脳をつつむくも膜の下に出血して、激しい頭痛、意識の低下、嘔吐を招くもので、原因の50~60%は脳動脈瘤という血管のこぶが破れたために起こります。その他動静脈奇形、高血圧性脳出血、モヤモヤ病などもその原因となりますが、何と言っても破裂脳動脈瘤が激しい臨床経過を示し現在では外科的に治療されるようになりました。再出血発作を予防することで救命率も著しく向上しました。手術する時の意識状態が良いほど予後も良好なのですが、昏睡状態になると予後は不良となります。脳動脈瘤破裂までには、コブができてそれが大きくなる段階があるはずです。その前段階でもし治療ができるなら働き盛りをくも腹下出血のために失うことにはなりません。

  一般には警告症状として激しい頭痛が約50%をしめますが、その70%が1ヶ月以内に破裂しています。この頭痛は突然出現して、「これまで経験した事のないような激しいもの」と表現されます。その次に大切なものが視力、視野の障害や、物がだぶついたり、上まぶたが垂れ下がったり、瞳孔が大きくなったりする脳神経障害としての前兆です。瘤が大きくなったり、僅かに出血が起こったりすると激しい頭痛の他に吐き気や嘔吐が襲ってきます。

  吐き気や嘔吐発作を伴う、かって経験したことがない激しい頭痛があったり、それと共に色々な目の症状があるようなら、なるべく早く専門医の受診をされることをお勧めします。脳動脈瘤破裂前に適切な対策を構じれば重篤なくも腹下出血を予防することも可能です。