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メラトニン

  メラトニンは脳の松果体から分泌されるホルモンの一つです。脳下垂体後葉から出されるメラニン細胞刺激ホルモンに拮抗して色素細胞を褪色させる働きのあることからメラトニンと命名されました。

  1995年頃からこの松果体ホルモンのメラトニンの研究が進みました。ヒトの免疫系に働いてその免疫力を高め、さまざまな病気に対する抵抗力を増す作用があるといわれています。アメリカのマスコミではガンを防ぎ、抗癌剤の副作用を緩和し、不眠症を直し、血圧を下げ心臓病を予防し、まさに奇跡の体内ホルモンとして報道されている程です。

  メラトニンは夜間に分泌がさかんになり、日中量の10~20倍になり午前2~3時頃がピークに達します。睡眠・目覚め・疲労・体温・脈拍などの生体現象と同様にほぼ24時間のリズムで体内時計でコントロールされているといわれます。その働きとして色素細胞に対する脱色作用、性腺抑制作用、甲状腺ホルモン産生を抑える働き、副腎皮質ホルモンの産生をたかめる作用などが挙げられています。特にマスコミ的に騒がれているのは、メラトニンが日内変動を利用して、睡眠をコントロールすることが出来るホルモン作用と、活性酸素の害を減らす作用をもっているからです。時差ボケに対応するために、現地時間の就眠時間に合わせて服用して、目的地に着いたら就眠1時間前に服用しつづけ、時差を感じなくなる迄、毎晩服用するといったことが、スチュワーデスなどの交代制勤務を必要とする人々の間で流行しています。もう一つの活性酸素の害を減らす作用は、ビタミンEの2倍、グルタチオンの5倍あることから生体細胞の老化現象の原因となる活性酸素を減少させると考えられて健康食品として人気があると報じられています。

  しかしメラトニンと同じ原料で作られたトリプトファンが白血球の好酸球増多症を起こしたり、広範囲の筋肉組織に痛みを起こす筋肉痛症候群の原因と考えられて発売中止となった苦い教訓があります。アメリカでは健康食品として安易に購入できますが、妊婦、授乳中の婦人、ステロイド剤服用者、アレルギー体質の人は、服用が禁じられています。ヨーロッパでも神経ホルモンとして扱われ、医師の処方無しで購入できる売薬としては許可されていません。インターネットなどの代行輸入品に安易に手を出さない方がよいでしょう。