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気をつけよう脳卒中

 日本人の脳卒中による死亡率は年々低下して、最近ではがん、心疾患についで第3位になりました。栄養の取り方とか、食塩の取り過ぎに注意するといった食生活の改善がその原因の一つに上げられています。さらには脳卒中予防のための内科的治療の発達や、飛躍的な脳外科的治療の進歩が役立っています。

 脳卒中は脳出血や脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血のように脳の内部で血管が破れて出血するものと脳血栓や脳栓塞のように脳に血液を送る血管や脳内の血管がつまって閉塞してしまうものに分けられます。血圧も高くなく、意識もはっきりしている脳出血や、血圧が上昇して昏睡状態になる脳血栓も少なくなく、正しい診断を下すのは容易でありません。しかし現在では、コンピューターによるCTスキャンや磁気共鳴を利用したMRIという装置のおかげで正確で迅速な診断も可能となり、脳出血やくも膜下出血は発病より48時間以内に手術すれば最も良い成績を得られる事がわかりました。正しい診断と早期の治療開始こそポイントです。かかりつけの医師や救急隊の協力を得て、脳外科や神経内科のある専門病院へ一刻も早く送ることが大切です。

 治療の第一歩は倒れた時に始まります。慌てずに次の点に注意して下さい。

  1. 患者を大声で呼んだり、むやみにゆり動かさず、頚部をなるべく固定して、衣服やバンドはゆるめる
  2. 舌がおちて、呼吸困難になるようなら、両手で下顎を引き上げるようにして保持する
  3. 吐きそうな時は、顔をそっと横に向けて、吐いたもので窒息しないようにする
  4. 何時、何処でどのようにして倒れたか、出来るだけ詳しい情報を集める
  5. 倒れた時に意識があったかどうか、またそれが時間の経過につれて良くなって来たか、どんどん悪くなったかを観察する
  6. どちらの手足を動かすか?何か喋れるか?尿や便の失禁はないか?眼はどちらの方向を向いていたか?

 ―などの情報が医師にとっては正しい確定診断を下す重要な手がかりになりますので、冷静に手早く行動することが大切です。