保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

健康ファイルボックス

病気や健康に関する知識をお届けします

TOP > 健康ファイルボックス > 外科・整形外科・脳神経外科 > 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群

 睡眠障害のなかで最も多いのが、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる病気です。皆さんの周りにも、いびきをかく人がいらっしゃるでしょう。いびきとは、睡眠時に空気の通り道となる気道が狭くなって異常な音を立てる現象です。気道が狭くなる状態がひどくなると完全に気道が閉じてしまい、呼吸ができなくなります。これを無呼吸状態と呼び、これが数秒続くと、このままでは危険だと感じた脳だけが目覚めて呼吸を再開させます。これを一晩に何度も繰り返す症状を睡眠時無呼吸症候群と呼んでいます。ひどい人では、一晩に500回以上も無呼吸発作を起こす人もいます。

 この睡眠時無呼吸症候群の人は無呼吸のために、しばしば脳が覚醒状態になり、そのために深い睡眠をとることができません。また翌朝目が覚めたとき、その自覚が無いのもこの病気の特徴です。このため、寝不足の状態になり、昼間に理由のわからない眠気におそわれます。

 呼吸が止まっても窒息するわけではありませんが、呼吸障害がひどくなると胸が陥没するほどですから睡眠がしばしば中断されてしまいます。このため昼間でも眠かったり体がだるいため、学校での勉強が身に入らなかったり、いろいろな事故を引き起こすことにもなりかねません。成人においては血液中の酸素が不足するため、高血圧になったり、心臓に負担がかかるため、心臓や脳血管の障害を引き起こしたりします。

 また、高度な扁桃肥大が無くても、ノドにつながる咽頭が狭くなっていると激しい「いびき」と無呼吸を生じることがあります。咽頭腔を拡大する目的で、手術を行うこともあります。肥厚性鼻炎<ひこうせいびえん>やアレルギー性鼻炎は「いびき」と軽い呼吸障害を起こしますが、これらは血管収縮剤や抗アレルギー剤の投与が有効です。 日常生活においては、肥満を改善すること、アルコールを控えること、部屋を乾燥させないようにして、横向きに寝ること、などが大切です。

 あなたが、次の項目の2つ以上に当てはまることがあれば、医師に相談してみて下さい。

  1. 起床時、ぐっすり眠った感じがしない。
  2. 昼間はいつも眠い。
  3. 昼間は疲れた感じがする。
  4. 突然、ひどく眠くなる。
  5. よくイビキをかく。
  6. 睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことがある。
  7. 車の運転中に無意識に眠ってしまったことがある。

 ―こういう場合は睡眠時無呼吸症候群が疑われますので、医師に相談してください。