保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

健康ファイルボックス

病気や健康に関する知識をお届けします

TOP > 健康ファイルボックス > 外科・整形外科・脳神経外科 > 成人のてんかん

成人のてんかん

 てんかんの原因は色々なものが考えられ、脳血管障害、代謝異常、中毒、脳炎、悪性腫瘍、脳の奇形、染色体異常、感染、頭部外傷など多彩です。

 これまでてんかんは臨床症状の特長から強直---間代性けいれん発作(大発作)、欠神といって一瞬又は短時間意識を失う小発作、又はもうろう状態でいわゆるひきつけを起こさない精神運動発作の3つに分けて考えられてきました。

 いわゆるてんかん発作というのは、周産期、乳幼児期、児童期など小児期に多く発症し、年をとるに従って頻度、程度ともに小さくなることはよく知られています。

 成人てんかんは幼児期または小児期に発症し、20才以上の成人期まで続いているものと、成人(20才以上)以後発症したものに分けて考えると、いわゆる成人のてんかんの頻度は年をとるに従って減ってきます。レハックスという学者の統計によればてんかんの頻度は100万人当たり平均28人とされ20才代は全てんかん患者の12.7%、30才代は7.1%、40才代は2.7%、50才以上では1.7%に減ってきます。ですから40才以前に発症するてんかんは、5才前に発症する例の約10分の1位といってよいと思われます。成人以後に発症するてんかんを晩発てんかんという呼び方もありますが、何才以後をそう呼ぶかは議論が分かれています。しかし成人期以後に発症したてんかんは、なんらかの変化や病気によるものが多いことは間違いありません。成人てんかんでは原因の分からないいわゆる真性てんかんは非常に少なく、症候性てんかんが多いと考えられます。しかし真性とか症候性と分類することはもう古い分類に過ぎないといわれ、てんかんが独立した病気がどうかという問題と同じにはっきりとした結論はないようです。

 ですからいわゆる成人のてんかんは、くわしくその原因をしらべて治療法を立てる必要があります。脳の専門医で先ずてんかん発作なのかそうでないのかを調べなければなりません。小児期に多い熱性けいれんと違って、家族歴、既往歴、どんな型の発作かをくわしく話すことが必要です。さらに単純頭部X線、脳波、CT、MRI、MRAを含む脳の精密検査、染色体分析、などの最新の方法でその原因を徹底的に検査してもらい、その原因が脳腫瘍や脳動静脈奇形や水頭症などのいわゆる器質的原因かどうかをまず解明することがまず大切です。専門医の適切な処方をうければ日常生活に支障はきたしません。