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注意しよう、めまいが続いたら

 めまいという訴えは頭痛と同じように、とてもありふれた病状の一つです。しかし又、“めまい”は色々な原因を持つことを知る必要があります。

 よくめまいがすると「メニエール症候群」ではないかと考えがちですが、それはめまいやふらつきがあるがその原因がはっきりしないものの総称であり、疾患そのものを指しているわけではありません。

 めまいには大きく分けると「立ちくらみ」「ふらつき」と「回転性めまい」に分けられます。

 「立ちくらみ」というのは立ち上がった時にフラッとしたり、目の前が暗くなるものです。立ち上がった瞬間に血圧が下がって意識中枢のある脳幹が虚血状態になった場合に起こるのですが、初期ではごく短時間、ほんの1から2秒しか続きません。脳へ行く血流が障害されたり、心臓から脳へ送り込む血流がとぎれることなど、色々の原因が考えられます。いずれにせよ脳幹部が程度の差こそあれ虚血状態になったことを意味しますので軽くみてはいけません。

 「ふらつき」というのは、歩いている時にヨタヨタするとか、フワフワ浮いた感じでよく雲の上を歩いているようだと表現されるものです。睡眠不足や首こり、ストレスによる交感神経の緊張により生じることも多いですが、小脳に障害がある時にもみられるもので、これは酒に酔った時のように体幹失調というよろめき歩きを伴います。ろれつが回らない、食事がうまく飲み込めないといった脳神経症状を伴う場合は緊急の場合がありますので、すぐに医療機関を受診してください。

 景色や天井がくるくる回転するというのが「回転性めまい」です。これは脳神経や三半規管に原因があって反応性に眼球が横や縦に揺れたり回旋するために景色が回っているように見えるものです。最も多いのが良性発作性頭位めまいで、起き上がったり寝転んだときに数秒してから回転性めまいを生じ、数十秒から数分で症状が消失するもので、逆の動きをしたときには反対側に回るという特徴があります。逆に頭を動かしていないにもかかわらず突然回転性めまいを生じるものは、内耳が原因で起こる前庭神経炎のほか、脳血管疾患であることもありますので医療機関での検査が必要です。

 頭痛や嘔気を伴うめまいは血管性片頭痛や小脳の出血・梗塞も考えられます。耳なりを伴うめまいはメニエール病や突発性難聴といわれる耳鼻科的な原因が多いと言えます。また頚(くび)や頭を動かした時に起こるようなめまいは椎骨動脈という小脳・脳幹へ血流を送る血管のトラブルや、神経血管を圧迫する腫瘍や血管拡張、収縮をコントロールする自律神経の失調によるものなども考えねばなりません。

 ですから短時間で、しかも繰り返さないめまいはよいのですが、何回も繰り返したり長く続くようになったり、どんどん強くなってくるような場合や脳神経症状を伴う場合は注意が必要です。耳鼻科・神経内科・脳神経外科で検査してその原因をはっきりさせておく必要があります。

 

(最終更新:2018.9.21/東山佳澄)