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ピルについて

 ピルは女性ホルモンが2種類入っている錠剤です。本来のピルは錠剤という意味ですが、現在ではピルといえば避妊を目的とするホルモン剤を指すことがほとんどです。ピルは世界中で40年近く使われており、約1億近い人が服用している、と推定されています。これほど長期に多くの人に使われてきた薬剤は他にはあまりないでしょう。そのため、薬のメリットとデメリットがかなり詳しく分かっています。

 ピルのメリットはかなり簡単で確実な避妊、月経周期がきちんとする、月経痛が軽くなる、月経の量が減少する、子宮体がんや卵巣がんが減る、不妊原因を含む骨盤内感染症を減少させる、骨粗鬆症の発生を予防する、良性乳腺腫瘍の減少、にきびなどの改善、などが期待されます。

 一方、ピルの重大な副作用は血栓症で、タバコを一日15本以上吸う人でその発生は高くなるという報告があるので、ピル服用中は禁煙をした方がよいでしょう。乳がん、性器がん、子宮筋腫がある人はピル服用により悪化する事があります。また乳がんの発生も高くなる可能性があるので6ヶ月ごとに検診を受けましょう。

 最近認可された低用量ピルは従来のピルより副作用がさらに少なくなる、と考えられています。低容量ピルは日本で初めて避妊目的に認可された薬剤です。

 ピルは骨盤感染症を防ぐ、とはいっても性行為による感染を完全に予防するわけではありません。クラミジア感染症、エイズ感染症、梅毒、性器へルペスなどを予防するにはコンドームの使用が勧められます。こらは今後増える恐れのある性感染症を予防するためにピルの服用者がきちんと理解しておかなければならない重大な問題点です。

 ピルの使用に当っては薬の注意点を十分な理解をした上での利用が望まれます。