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婦人のクラミジア感染症

  性行為により感染する病気は性感染症と呼ばれ、淋病や梅毒などがよく知られていますが、クラミジア感染症も、その一つです。クラミジアは、細菌とウイルスの中間の大きさの微生物で、以前から、結膜炎などの病原体として知られていましたが、1980年代に入り、性行為によって性器にも感染することがわかり、現在では性感染症の原因の一つとして注目されるようになりました。

  クラミジアは感染すると、まず子宮の入口の部分に頚管炎を起こします。この時期は、腟の分泌物が増える程度で、ほとんど症状は見られません。しかし、長期間気付かないまま放置すると子宮や卵管に炎症を起こし、性交時に痛みを伴うようになります。さらに進めば、骨盤の内膣の奥深くまで侵入し急性の骨盤腹膜炎となり激しい腹痛を伴うことがあります。

  クラミジア感染は、感染の初期であれば、テトラサイクリ系やマクロライド系の抗生物質を二週間程服用するだけでよく、外来治療だけで、完全に治ります。しかし、気付かないまま放置し骨盤腹膜炎まで進むと入院治療が必要となり治りにくくなります。また、時には子宮や卵管周囲の炎症の為に卵管がつまって、不妊症などの後遺症を残すこともあります。

  お産のときにクラミジアに感染していると、生まれてくる赤ちゃんは結膜炎になったり、肺炎を引き起こすこともあります。また、妊娠初期であれば流産の原因になる可能性があります。

  クラミジア感染症は、女性では初期に症状がなく、放置されるケースが多いため最近になって急激な広がりを見せています。婦人科外来で、無作為に検査すると、十人に一人の割合で、クラミジアが見つかるとされています。尚、男性が感染すると、2~3週間の潜伏期の後、下着の汚れや排尿痛、尿道の違和感など、尿道炎の症状が現れます。もしパートナーのどちらかが感染した場合は、相手の人の検査治療も必要になるので、医師に相談しましょう。