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子宮頸がんワクチン

 子宮頸がん全体の60-70%はHPV(ヒトパピロマーウイルス)16型および18型の感染が原因とされています。HPVワクチンは、その感染予防を主目的とした不活化ワクチンです。
 現在、HPV 16型、18型の2種に対応する2価ワクチン(サーバリックスP【グラクソ・スミスクライン社】)と、HPV6型、11型、16型、18型の4種に対応し、良性病変の尖圭コンジローマの発症も予防できる4価ワクチン(ガーダシルP[メルク社】)があります。
 いずれも世界100か国以上で認可され、わが国では平成21年10月に2価ワクチンが承認され、4価ワクチンも近日中に承認を待つ状況にあります。このワクチン(1回0.5ml)を3回にわたって筋肉内注射することによりHPVに対する高い抗体価が得られることで、HPV感染を予防でき、その結果として子宮頸がんの発症予防が期待されています。
 ウイルスDNAを含まないことから、感染性のないワクチンといえます。また現時点で副反応も重篤なものはないとされていて、世界的には、WHOをはじめワクチン接種が推奨され検診と併せて子宮頸がんはほぼ予防・早期発見できる疾患とされています。
 巷では不妊になるためにうたない方がよいとか、ワクチンをうつと死亡する、といったたぐいの流言飛語が流されています。ワクチンに添加されているアジュバント(免疫増強剤)が不妊を引き起こすと噂がながれていますが、2価ワクチンのアジュバンドは最近開発されたもので、これが不安の材料と考えられます。しかしアジュバント非添加やアルミニウムアジュバント添加ワクチン群との比較で副作用に差がないことが調べられています。また、妊娠との関係ではワクチンを接種後の妊娠が数多く報告されていて、さらにその妊娠転帰には対照群と比べて差がないことが知られています。最近公費で無料になる自治体もありますので、希望する方は対象となるか調べてみてください。
 今のところHPVワクチンは安全性の高いワクチンであると言えますが、一般のワクチンと同様の注意が必要であることには変わりありません。接種の際には医師の説明をよく聞き、不明な点は質問しましょう。

 

(最終更新日 2011/2/21)