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五感と耳鼻咽喉科

 人間の感覚器官には目、耳、鼻、舌、それに皮膚があります。目は視覚を、耳は聴覚を、鼻は嗅覚を、舌は味覚を、それに皮膚は触覚を担っています。これを五感と呼んでいます。五感のうち聴覚、臭覚、味覚、それに触覚の四つの感覚が耳鼻咽喉科の領域に属していますから、別のいい方をすれば耳鼻咽喉科は感覚器官を扱う科ともいえるのです。

 五感は人間の命に関わるような重大なものではありませんが、私たちの祖先の人々にとっては、これらの感覚は自分の身を守るためには絶対必要なものであったろうと想像されます。しかし文明の発達と共に次第に退化せざるをえなかったといえます。

 五感の中の聴覚においては、ここ数十年の間に増えてきたのが、突発的に聞こえが悪くなる突発生難聴です。症状はめまいや耳鳴りがして急に耳が聞こえなくなったり、耳がつまった感じがします。この原因としては内耳(ないじ)にカゼのウィルスが感染したり、内耳の血液の循環が悪くなったためではないかと考えられますがはっきりしたことは分かっていません。さらにこれらの原因としては、現代人の生活環境の激変やそこからくるストレスが関わっていると考えられます。

 味覚は年とともに老化していくものですが、そんなレベルにとどまらない味覚異常が拡がっています。主な原因はミネラルである亜鉛が不足しているためです。その原因としては加工食品を過剰にとったり、外食で自分の好きなものだけ食べるという偏食によるといわれています。

 嗅覚は人間の五感のなかでは普段あまり重要ではないと思われがちですが、ガス漏れや食べ物が腐っていることに気が付かなかったり、食事をまずく感じたり、花や香水の香りを楽しむことができなくなったり、生活に潤いをなくしてしまいます。このように五感と耳鼻咽喉科は深い関わりをもっているのです。