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子どもの難聴

 あなたの赤ちゃんは生後3ヶ月までに、強い音に対して手足をぴくつかせたり、まばたきをしたりしましたか、4ヶ月ごろから音の出た方向に顔を向けましたか。10ヶ月頃から弱い音の方向をさがし求めましたか。これらの反応がないか、鈍い時は、あなたの赤ちゃんは生まれつきの難聴かもしれません。1万人につき約8人の割合で生まれると考えられています。原因として、両親の血族結婚、家族内に難聴者がいる、妊娠中のウイルス感染や薬物の服用、仮死状態での出生、1500g以下の出生時体重、新生児重症黄疸がよくあげられています。乳幼児の難聴は出来るだけ早期に発見して、早期に指導や教育がなされなければなりません。現在では脳幹反応聴力検査の臨床応用で、かなりの早期に難聴を発見することが出来るようになりました。もし疑いがあるようでしたら、近くの耳鼻咽喉科で耳の診察を受けて、それでも難聴の原因がわからなかったら、乳幼児の聴力検査の出来る施設に紹介してもらってください。後天性の難聴では流行性耳下腺炎またはおたふく風邪があり、患児1万人に1人ぐらいの割合いで発生しています。そのほかにインフルエンザ、麻疹、ヘルペス、水痘などでも起こりますが、多くは一側性です。また髄膜炎でも起こりますが、多くは両側性です。現在ではいろいろな施設で人工内耳を埋め込む手術が行われるようになってきましたので、早期診断・手術ができれば聴力の獲得が可能です。

 小さいお子さんが、テレビの音を大きくしたり、前のほうで見ようとしたり、呼んでも返事をしないときは、滲出性中耳炎を疑ってください。この病気は中耳の中に炎症性の産物である滲出液が溜まるために起きますが、幼稚園児の約6%に発生するといわれています。

 

(最終更新日:2010/3/26)