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子どもの鼻づまり

 鼻の役割は空気中のゴミやばい菌が直接肺に入らないように鼻の中で取り除き、さらに冷たく乾いた空気を暖めたり湿度を与えて送り込むことです。鼻の粘膜は外界の刺激に対して非常に敏感ですから、風邪をひいて急性鼻炎を起こしたり、外界の異物に対してアレルギー反応を起こしたり、ストレスなどで鼻の粘膜が充血して腫れると鼻本来の役割を果たせなくなります。そのために空気の流れが遮断され、鼻づまりが生じます。こどもではこのような症状を起こす病気にはアデノイド、慢性鼻炎と小児副鼻腔(ふくびくう)炎、それにアレルギー性鼻炎があげられます。咽頭扁桃は鼻の奥で、ノドの口蓋垂(こうがいすい)の上にあり小児期に腫れたのをアデノイドと呼んでいます。鼻からノドに空気が流れる通路にあるのでアデノイドと言われるほどに大きくなると鼻腔(びくう)を塞ぐようになりそれを鼻づまりと感じるのです。さらに進行すると夜間睡眠時のイビキや無呼吸となります。これを睡眠時無呼吸症候群といいます。そうなると睡眠不足になり日中うとうとしたり、注意は散漫になり学童においては成績低下の一因となります。場合によっては心臓や肺にまで悪い影響を与えることもあります。このような時にはアデノイドを手術的に切除します。

 慢性鼻炎では鼻の粘膜が腫れるため鼻づまりとなりますが、これはお薬や鼻の洗浄で良くなります。慢性鼻炎やアレルギ―性鼻炎では鼻の入り口の部分にある鼻前庭湿疹を合併しますので、その時はピンセットでかさぶたを取り除き、朝と夜寝る前に湿疹用のクリームを塗ります。小児副鼻腔炎では鼻の粘膜の腫れと汚れた鼻汁によって鼻づまりが起きてきます。現在では抗生物質や漢方療法による治療もあります。アレルギ―性鼻炎はアトピータイプから来る場合が多いので原因となる抗原の除去とアレルギー治療薬の長期療法が勧められます。鼻づまりを放置しておくと口で呼吸するようになり、咽頭や喉頭さらには気管や気管支の粘膜まで乾燥して、細菌に対する抵抗力が落ちて炎症を起こしやすくなり中耳炎、扁桃炎や気管支炎を引き起こすようになりますから、鼻づまりは放置しないで下さい。

 

(最終更新日:2010/3/26)