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耳なり

 夜静かになると、耳の奥でシーンと鳴るような音が聞こえたり、さらにキーンとかピーというようなはっきりと聞きとれるような音を感じることがあります。この音は他の人には聞こえませんから、本人だけが悩んでしまうことが多い様です。これを耳鳴りと呼んでいますが、成人に多く、特に老人になるとその頻度は高くなります。これは鼓膜の振動を音として認識するカタツムリの形をした蝸牛のなかにある有毛細胞(ユウモウサイボウ)の働きが年齢と共に衰えてくるために発生すると考えられています。現代医学においてはいまだに若返りの薬が発明されておりませんので、このような耳鳴りは老化現象の一つと認識して、友達とつきあうような気持ちで、慣れることも必要かも知れません。この音の強さはいつも一定ではなく、疲れたり、睡眠不足や興奮すると強くなることから、睡眠を十分にとり、安静にしていると耳鳴りが良くなる場合もあります。それでも音が気になって眠れないときは医師に相談の上安定剤や睡眠剤を飲んで下さい。最近ではTRT療法といって、耳鳴りに近い音を外から持続的に聞かせることにより、自身の耳鳴りに順応させる治療法が開発され、一定の効果を上げています。耳鳴りの約9割が難聴が原因と考えられていますから、聴力検査や耳鳴検査が必要となります。老人性難聴のほかには、低いブザーのような音が聞こえて、めまいをともなうメ二エール病、片方の耳にモーターの唸るような音が聞こえて耳がつまるように感じたら、低音が障害された突発性の難聴、そのほかにうるさい職場にいたために起きる騒音性の難聴、コンサートによる音響外傷などが考えられます。時には、片側の耳鳴りがするようにつづき、聞こえも悪いようでしたら、聴神経の腫瘍を疑います。子供が訴える耳鳴りでは、急性中耳炎と滲出性中耳炎が多く、これは鼓膜の検査で判定できます。

 

(最終更新日:2010/3/26)