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耳鼻科の学校検診

 耳鼻科の病気は、単に局所の問題としてとられがちですが、全身の病気の反映であったり、全身になんらかの影響を与えたりする場合が多いのです。さらに低学年ではまだ免疫が十分備わっていないため、両親が気付かないうちに慢性化していて、その治療を難しくしていることもあります。学校検診はこの慢性化した病気をスクリーニングするだけです。学校から通知がきたら、専門医の診察と治療を受けましょう。

 以下に学校検診で見つかる主な病気について述べます。

 耳の検査では、耳垢(みみあか)のため鼓膜が見えないと「耳垢栓塞(じこうせんそく)」となります。耳垢のため聞こえが悪くなったり、水泳の後に水が抜けなくなって「外耳炎」の原因となります。綿棒やピンセットで無理に耳垢を取ろうとすると、外耳炎を引き起こしたり、時には鼓膜を破ることがありますから、出来るだけ専門医に除去してもらいましょう。

  「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」は幼児から小学校低学年にかけてかかる慢性タイプの中耳炎です。両親も気が付かないうちに聞こえが悪くなっていて、勉強や精神の発育に悪い影響を与えますので、薬物療法で効果のない場合は手術療法が必要となります。

 学校の簡単な聴力検査でも、聴覚をつかさどる神経が悪くなっている「感音性の難聴」がみつかることがあります。残念ながらほとんどは治療が困難な場合が多いのですが、先天性か後天性かを判断するために精密な聴力検査を受けてください。中学・高校ではヘッドホンの使い過ぎで起きる「ヘッドホン難聴」があります。これは耳鳴りを伴うことも多く、日常生活の改善で回復する場合があります。

 「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」は小学校低学年ではまだまだ多いのですが、治療成績は良いようです。しかし小学校高学年から中学生で指摘されたときは、やや治りにくい慢性の副鼻腔炎になっていますので、根気よく治療する必要があります。

 鼻づまりで悩まされるのが「アレルギー性鼻炎」です。最近治療の進歩は著しいものがありますから、体質改善を含めた治療を受けて下さい。

 「扁桃肥大」はいびきの原因となります。さらに肥大が進行して行きますと、「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こします。こうなると扁桃摘出の適応となります。