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小児副鼻腔炎

 私たちが息を吸うとき、空気は鼻中隔(びちゅうかく)という軟骨の壁で仕切られた左右の鼻腔を通って肺に送られます。そこには左右対称に副鼻腔(ふくびくう)という空洞があり、その空洞の粘膜が炎症のために腫れたり、膿が溜まった場合を副鼻腔炎と呼びます。小児では免疫機能や空洞の発育が不十分ですから、風邪をひくと炎症を起こしやすく、またその炎症を繰り返すことによって慢性化しやすいのです。さらに、この炎症は遺伝的な影響を受けることが知られており、その治療を難しくしている場合もあります。また鼻づまりのため疲れやすくなったり、怒りっぽくなります。それに頭が重いといった症状が加わると、物事に集中できにくくなって学業の低下をまねきます。膿(うみ)のように濃い鼻汁がのどにまわると、気管や肺の炎症を引き起こしやすくなります。これを「副鼻腔気管支症候群」と呼んでいます。このように慢性の炎症はいろいろと全身に悪い影響をあたえるのです。

 最近ではマクロライド系抗生剤の少量長期投与が普及してきましたし、高学年になると自然治癒する傾向にありますから、根気よく治療を続けてください。

 それではどのような点について注意したらよいでしょうか。小さいお子さんはまだ鼻をかむことができませんから、お母さんの手助けが必要です。鼻の入り口の鼻汁(はなみず)は市販のはなみず吸引器などですこしずつ吸ってあげてください。それでもゼロゼロがとれないときは、病院で細い吸引管で吸い取ってもらってください。鼻のかめるお子さんでは、鼻を強くかませないでください。それは鼻の粘膜が腫れて鼻汁が出にくくなるからです。片方ずつ、ゆっくりと、力を入れないでかませてください。それでも十分にとれないときは、点鼻薬を少し入れて、1分後にもう一度かませてください。

 副鼻腔炎は治っても、風邪をひくとよく再発しますから、風邪をひいた時は早めに治療を受けましょう。

 

(最終更新日:2010/3/26)