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鼻(はな)アレルギーと好酸球

 好酸球とはアレルギーや中毒の時に増える白血球の仲間の一つです。朝のクシャミに続く鼻水、そして鼻づまりなどがあってアレルギーが疑われる時、これを診断するために、初めに行われる検査として鼻汁中の好酸球検査があります。この検査はハンセル染色液が市販されるようになってから、短時間で簡便に行えるうえに負担が軽いので急速に普及してきました。

 最近の喘息の研究では、この好酸球増加が気管の粘膜を障害して、その発作を増強していることが判ってきました。しかし鼻のアレルギーでは鼻の粘膜が障害されるということはまだ明確には証明されていません。好酸球は正常の人では鼻汁の中には認められませんから、顕微鏡で調べてそこにわずかでも認められたならばアレルギーであろうと考えてもよいのです。ダニやハウスダストではいつでも陽性となりますが、花粉症の場合は、その季節のみに陽性となります。

 さらに花粉症では、その症状も激しくなるため強く活性化された好酸球が多く認められるので、花粉症か、通年性のアレルギーかどちらかの原因を推測する手掛かりともなります。さらに感染症のときに出現する同じ白血球の仲間である好中球の割合を調べることによって、感染症の合併の推測もできるのです。

 鼻汁中好酸球が陽性であり、鼻アレルギーであることが確認できたら、次に皮膚での検査を行います。これで原因となる抗原を見出だすことができます。しかし、好酸球陽性にもかかわらず、皮膚での検査や血液検査でも抗原を見出だせない群が数%あります。これらを好酸球増多性鼻炎と呼んでいます。またアレルギー様症状があるのに、鼻汁中に好酸球がなく、ほかの検査でもアレルギーが証明されない群があります。これは血管運動性鼻炎であり、いわゆる鼻過敏症ですが1~2%に認められます。さらに好酸球検査はいろいろな治療法によってその出現程度が減少してきますので、その効果をみるのにもある程度参考になります。以上のことよりこの好酸球検査は鼻アレルギーの検査としては大変重要であります。

 ほかに好酸球が関与している疾患として好酸球性副鼻腔炎があります。これは鼻茸(ポリープ)が鼻腔に充満して鼻づまりや膿性鼻汁を引き起こす、喘息と深い関連を持つ疾患で、ステロイドの全身投与が必要な指定難病対象疾病となりますので、喘息をお持ちで頑固な鼻づまりがある場合も耳鼻咽喉科で診察を受けることをおすすめします。

 

(最終更新:2018.9.21/東山佳澄)