保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

健康ファイルボックス

病気や健康に関する知識をお届けします

TOP > 健康ファイルボックス > 耳鼻咽頭科 > 鼻すすりと中耳炎

鼻すすりと中耳炎

  鼻すすりという動作は一般に2~3歳ころから始まりますが、小学校低学年になっても、上手に鼻をかめる児童は半数ぐらいです。鼻の病気があると鼻汁や鼻づまりのため、どうしても鼻をすするようになってしまいます。この鼻すすりの癖は中耳炎を引きおこしたり、治りにくくする原因にもなっています。このなかでも治りにくい「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」において、鼻すすりの癖が誘因となっていることがあります。鼻と耳をつないでいる耳管が閉じないで開いた状態にある場合、鼻をすすることにより中耳が陰圧になります。耳が詰まるような感じとか、自分の声が頭のなかでひびくという不快な症状がなくなるため、無意識の内に鼻をすすることに慣れてしまうのです。

  この状態が続くと中耳が陰圧になることによって滲出性中耳炎が引き起こされたり、長引いたりします。このほか鼓膜が中耳の壁に癒着してしまう中耳炎や一部の「慢性中耳炎」は鼻すすりが原因と思われる例があります。

  「小児の副鼻腔炎」においても、いかに鼻を上手にかむかということがその予後に影響を与えています。1年生では半数以上の子どもが両方同時にかんでしまいますし、4年生においても半数近くが正しいかみかたをしていないようです。ですから子どもの鼻をかむのをよく観察して、鼻のかみかたを教えることは大切なことなのです。

  強くかませると鼻の粘膜は腫れてしまい、鼻づまりはひどくなりますから、片方づつゆっくりと静かに、ながくかませて下さい。鼻がつまっているときには、医師から処方される点鼻薬をつかうのもよいでしょう。こうすることによって鼻の中に溜った分泌物は排泄されますし、中耳炎や小児副鼻腔炎にかかりにくくなります。

 

(最終更新日:2010/3/26)