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鼻水と咳

 小児が風邪をひくと、初めは少し機嫌が悪くなり、軽い発熱と、くしゃみ、鼻水、軽いセキが出現します。また鼻水と鼻の粘膜が腫れると、鼻づまりが起きて鼻で呼吸ができない場合もありますが、鼻水が次第に濃くなってくると一週間ぐらいで治ります。時にはセキは乾いたセキから湿ったセキに変化していくこともあります。

 特に学童以前の乳幼児においては気道の粘膜は感染に対する免疫機構が不完全であるため気道全般の病気にもかかりやすいのです。

 小児で2週間以上続くセキに対して調べますと、全体の80%に「副鼻腔炎」と「アレルギー性鼻炎」が合併しています。ノドの奥に鼻汁が認められる場合はレントゲン検査で90%以上に副鼻腔炎が認められます。この状態が長引き、さらに抵抗力が弱くなると気管や気管支に慢性の炎症を引き起こす例もあります。これを「副鼻腔(ふくびくう)気管支症候群」と呼んでいます。

 治療は、副鼻腔炎に対する投薬または手術療法が必要となります。通常のカゼではここまで悪くなることはありませんが、カゼにかかってからゼーゼーしたり、ゴロゴロなるセキをしていて、気管支や肺に異常がないときは、急性鼻炎が悪化したり急性の副鼻腔炎にかかっている場合があります。このような時は口を大きく開けさせ、スプーンの背で舌を十分圧迫してノドの奥をよく観察してください。ノドの壁に粘液性か膿性の鼻汁が認められれば、副鼻腔炎の疑いがあります。この鼻汁がセキの原因となっているかも知れません。

 なお気管支炎が治つても副鼻腔炎は残っている場合が多いので、充分鼻の治療を続けてください。