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味覚の異常

 味覚の秋、何を食べても美味しく食べられるはずなのに、近頃食べ物の味がしない・変な味がするなどの味覚に異常があるという方が増えてきています。もともと味覚は年齢とともに老化して鈍くなるものですが、そんなレベルに止まらない障害が広がっているのです。食べ物の味は舌に赤いぶつぶつが見えますが、これを舌乳頭といって、そこにある味蕾(みらい)がセンサーとしての役割を担っています。この味蕾に入った信号は味覚神経を経て大脳に伝わり、その味が認識されるのです。味覚の異常の原因としてはいろいろな薬剤によるもの、亜鉛不足によるもの、糖尿病、肝臓や腎臓、消化器などの病気で起こります。

 中でも人体にとっては非常に重要なミネラルである亜鉛がこれらの原因に係わっています。ある種の利尿剤、消炎鎮痛剤、抗菌剤、向精神薬、さらにステロイドホルモン剤などは亜鉛を過剰に体内から排除してしまいます。この場合には、亜鉛に影響のない薬に変えたり、亜鉛を補う薬を服用することで改善できます。若い人々においては加工食品を過剰にとったり、ダイエットや外食の機会が増えることによって偏食となるため味覚異常が起きます。

 味覚の検査には、直流の電流を陽極にして舌を刺激して計る電気味覚検査と味の溶液をしみこませた濾紙(ロシ)を用いる濾紙ディスク法がありますが、いずれも味覚外来のある病院で検査が受けられます。

 味覚の健康維持のためには、亜鉛を多く含んだ食べ物を食べましょう。貝類の牡蠣、のり、小魚などの海産物。レバーなどの肉類。豆やナッツ類などをこまめにとりましょう。