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遠視

遠視

 近視、遠視、乱視を総称して屈折異常と言います。それぞれ言葉は知っていても、正確な内容を理解されている方は少ないようです。今回は遠視についてお話します。

 ヒトの目は眼球の中に入って来る光の刺激を、眼球の最も内側にある網膜という場所で感じ取ることによってものを見ています。最終的には網膜で感じ取った刺激が脳へ伝えられて、「見える」と感じます。

 ものがはっきり見えるためには、眼球に入ってきた光が網膜で焦点を結ぶことが必要ですが、遠視の眼では網膜よりも後ろで焦点を結んでしまうために、ぼやけて見えてしまいます。この場合、近くのものほどぼやけて見えるはずです。しかし、メガネやコンタクト・レンズで焦点の位置を前へズラしてあげれば、はっきり見ることができます。

 遠視ではものを見るときに、常に目でピント合わせをしなければならないので疲れやすい傾向があります。遠視の程度が軽い場合には、無意識にピント合わせをしているので、見えにくいと感じない場合もあります。しかし、目のピント合わせの力は年令とともに弱くなってくるので、40歳頃になると見えにくさを自覚するようになります。遠視の程度が強ければ、若くても見えにくさや疲れを感じます。そしてそれは近くを見たときに強く自覚します。また、幼児では遠視の程度によっては斜視や弱視の原因になるので、注意が必要です。

 いろいろな民間療法の広告を目にしますが、遠視を予防することはできませんし、手術以外の方法で治すことはできません。見えにくさや疲れを感じるようであれば、メガネやコンタクト・レンズを使用するのが唯一の方法です。原則として遠視の場合には、常にメガネ、コンタクト・レンズを使うことになりますが、遠視の程度や生活環境によっては若干使い方が変わってくることもあります。メガネ、コンタクト・レンズを作るときには、必ず眼科医と相談するようにしてください。

田辺由紀夫

(最終更新日 2010/10/1)