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後発白内障

 白内障は眼科領域では最も手術件数の多い病気で、その名前をご存じの方も多いでしょう。

 白内障は眼球の中にある水晶体という本来透明な部分が白く濁って、そのために視力が障害される病気です。水晶体の濁りは薬で治すことはできません。そこで、白内障のために視力が低下し日常生活が不自由になったら、手術により水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズと呼ばれる水晶体の代わりになるものを移植します。このとき、眼内レンズを入れる空間を作るために、水晶体を包む水晶体嚢<すいしょうたいのう>と呼ばれる薄い膜を一枚残し中身を取り除きます。ところが、手術後時間が経過して水晶体嚢が濁ってくることがあります。これを後発白内障と言います。後発白内障が生じる時期は、手術後数か月から数年と個人差があります。また、必ず起こるとも限りません。

 後発白内障が起こる原因は、白内障の手術時に除去しきれなかった水晶体上皮細胞が増殖するためですが、現在のところ手術時に水晶体上皮細胞を完全に取り除くことはできません。手術操作や眼内レンズの形等で後発白内障にならないような工夫は行われていますが、それでも起こってしまうことも少なくありません。

 現在、一般に行なわれている後発白内障の手術法はレーザー光線を使って後嚢に孔<あな>をあけてあげる方法です。この方法ですと眼内に器具等を入れずにできますので、入院の必要もなく術後の感染の心配もありません。15分程度で終ってしまいます。

 手術の時期については、後発白内障の程度やご本人の不便さによっても異なりますが、早くやらないと手後れになるということはありません。眼科専門医と相談してやるべきかどうか決めればよいでしょう。この処置を1回行えば、もう濁るものはなくなりますから、何回も行うことはありません。白内障の手術によって回復した視力は、他の病気が起こらない限り保たれることになります。