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子どもの斜視

 斜視とは、常に右目と左目が同じ点を向いて見ていない状態を言います。眼球を動かす筋肉の麻痺で起こる麻痺性斜視と、それ以外の原因で起こる共同性斜視とに大別されます。子どもで問題になるのは共同性斜視の方が多いと考えられます。

 ひとくちに子どもの斜視と言っても、その種類や原因は様々ですが、共通して重要なのは視力との関係です。子どもは生まれたときには、おとなのように物がハッキリ見えていません。5、6歳までにおとなと同じ程度の視力に育っていきます。眼自体に視力を障害するような病気がないのにもかかわらず、幼児期に眼に入る情報が不十分なために、視力が育っていない状態を弱視と言います。

 斜視があると多くの場合、両眼で物を見ないために弱視になりやすくなります。また、他の原因で弱視になると斜視も起こることがあります。このように視力の発達過程にある子どもでは斜視と弱視は切っても切れない関係にあるのです。斜視が発見された場合、幼児期に治療を行うのは、弱視にならないように、または弱視を治そうとするからです。

 誰が見ても眼の位置がおかしい場合は早期に発見されますが、一見したくらいではわからない程度の斜視では、視力不良から発見されることも少なくありません。また、学校に入ってから、顔の向きや首の傾きなどを教師に指摘されて発見されることもあります。斜視というと、すぐに手術をするものだと誤解されている方がいますが、手術をしてはいけない斜視もあります。少しでも目つき、顔の向き、首の傾きなどがおかしいと感じたり、視力不良を指摘されたりしたら、早めに眼科を受診し、斜視の有無を診てもらい、もしあればその種類、原因だけでなく弱視の有無も調べてもらいましょう。そうすれば、適切な治療ができるはずです。