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正常眼圧緑内障

  緑内障は、眼圧が高いために視神経が障害を受けて、視力低下や視野欠損を起こす病気です。ここで言う眼圧とは、眼球の内側から外側に対してかかる圧力のことです。

  眼球はものを見るために透明でなくてはならない部分があり、そこへの栄養や酸素の供給は血液の代わりに房水<ぼうすい>という液体が行っています。この房水の産生と排出とのバランスがとれている状態では、眼圧は正常です。しかし、何らかの原因で房水の排出が妨げられると眼球内に房水が貯まり、ちょうどボールに空気をたくさん入れたときと同じように、眼球が硬くなります。この状態が眼圧の高い状態です。

  一般に正常眼圧は10~20mmHg前後と言われますが、この値はあくまで統計的な正常値で、個人の正常眼圧は測ることができません。すなわち、この範囲を超えた眼圧でも何ら異常が起こらない人もいれば、この範囲内でも異常が起こってしまう人もいます。後者の場合を正常眼圧緑内障と言い、緑内障の中でも日本人に高率で認められることが知られています。平成12年から14年にかけて岐阜県多治見市で行われた大規模な調査を基に解析したところ、40歳以上の日本人の5.78%に緑内障が認められ、正常眼圧緑内障に限ると3.6%という結果が報告されています。

  したがって、眼圧の値が正常範囲だからといって、緑内障ではないとは言えません。眼底検査や視野検査など、他の検査の結果とあわせて病気かどうかを判定する必要があります。

  正常眼圧緑内障は慢性の経過をとることが多く、明らかな症状を自覚する頃にはすでに障害が進行していることも少なくありません。早期発見・早期治療のためにも、40歳を過ぎたら年に一度は眼科の定期検診を受けた方がよいでしょう。