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乾燥性皮膚掻痒症

 冬になると、空気が乾燥し、肌がカサカサしてかゆくなることがあります。それはなぜでしょう。皮膚の表面には皮脂といって、皮膚の表面を覆うアブラの膜があります。実はこのアブラの膜、非常に大切な役目をしているのです。つまり、外からくるいろいろな刺激、例えば衣類の繊維や洗剤の残りかすなど、それこそ多種多様な刺激から皮膚を保護するという役目、いわゆるバリヤーです。冬になるとこの皮脂が減ってしまうため、これらいろいろな刺激が直接皮膚にきて、湿疹やかぶれ状態をおこしてしまい、かゆくなるというわけです。これを乾燥性皮膚掻痒症(かんそうせいひふそうようしょう)といいます。これには4つの原因があります。一つ目は乾燥しやすい体質です。二つ目は季節です。三つ目は場所です。人間の体のどこでも同じように皮脂が減るわけではありません。皮脂が減りやすい場所があるのです。それは、すね、腕、腰などです。四つ目は年齢です。特に50歳以上になると皮脂の減少が激しい言われています。中高年の方が毎年冬になると、すねを中心にあちこちがかゆくなるのはそういうわけです。

 そうなったらどうするか。治療は皮膚科医にお任せください。ではどうしたら予防できるのでしょうか。それは皮脂の減少を極力防ぐということです。第一番目に、お風呂に入ったときは、すね、腕など乾燥しやすい場所を石鹸でゴシゴシ洗うのだけはさけてください。二番目に、寒いからといってやたらに暖房しないでください。暖房のし過ぎは皮膚の乾燥の原因になります。最も原因になりやすいのは電気毛布です。やむを得ず使う場合は設定温度をなるべく低くしましょう。三番目に、保湿剤をうまく使い皮膚の乾燥を防いで下さい。保湿力のある入浴剤などもいいと思います。体質や年齢などによっては避けがたい病気ですが、うまく付き合えばうまくいく病気です。