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紫外線から身を守ろう

 以前は日焼けした小麦色の肌は健康美の象徴でした。しかしフロンによるオゾン層破壊が原因とされる紫外線放射量の増加によって過度の紫外線を浴びると皮膚ガンや白内障を発症する危険性が高くなります。日常生活で浴びている量でも免疫機能の低下やウイルスの活性化などを引き起こすことがわかってきました。オーストラリアやニュージーランドなどの緯度の高い地域に住む皮膚色素の少ない白色人種では、この問題はかなり深刻で、幼児期から紫外線を大量に浴びると黒色腫などの悪性の皮膚ガンが発生する確率が高いのです。こうしたことから「日光浴は健康のもと」という日焼け信仰は急速に弱まり、ある地域ではシャツを着る、日焼け止めクリームを塗る、帽子をかぶる、サングラスで目を覆うという4つの紫外線防止策をスローガンに掲げキャンペーンを行い、この約20年の間に一定の成果をあげています。

 紫外線は波長の違いにより、性質の異なるA,B,Cの3種類があり、そのうちで白内障や皮膚ガン、免疫機能の低下を引き起こす紫外線Bに対する注意が最も重要です。日焼け止めクリームの効果指標であるSPF指数も紫外線Bを基準に決められています。羊や牛、水の表面に生息している魚にも皮膚ガンが発症していますし種類によってその影響は大きく異なるものの農作物の収量減少にも紫外線Bの増加が関与しているといわれています。

 これらを総合すると、いまや紫外線防止は女性の白い肌を保つというだけにとどまらず、健康管理の必須条件となりました。紫外線は百害あって一利なしとまでは言わないまでも意図的に浴びる必要はないのです。日焼けサロンなどの人工的な紫外線でも障害は起ります。紫外線Bは南へ行く程多く、季節では6月から8月、1日のうちでは午前10時から午後3時ごろにかけてが強いという特徴を把握したうえでライフスタイルを考える必要がありそうです。