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歯のくさび状欠損

 自分の歯を一本ずつよく観察してみましょう。特に歯と歯肉の境目をよく見て下さい。ここは歯周病の出発点であり、虫歯や歯周病の原因となる歯垢はこの場所に最も多量に付着します。これとは別に、外見上で特徴的な症状を示すことがよくあります。それは歯のはえぎわに、ちょうど歯にくさびを打ち込んだように三角形の凹みができてしまうもので、これを歯のくさび状欠損といいます。これには、くさび状、皿状、箱状など、減り方に違いがあり、その成り立ちが少しずつ異なると考えられています。 

 くさび状欠損ができると、冷たい食べ物などによる温度変化や、ちょっとした機械的な刺激で歯が痛むなどのいわゆる知覚過敏症になりますし、歯ブラシによる清掃もとどきにくくなり、凹み部分が虫歯になり易くなります。また、咀嚼時の食べ物のスムーズな流れを邪魔するために歯肉などの歯周組織の健康を害する可能性もあります。

 くさび状欠損は従来、硬いハブラシの使用や歯磨き剤の使い過ぎ、横みがき等の誤った歯ブラシの使用方法などが原因とされてきましたが、現在では、これらは原因の一部にすぎないことがわかりました。他には歯と歯肉の境目は歯の表面構造であるエナメル質とセメント質の変わり目で材質的に弱いこと、歯の形態的な特徴から歯肉との境目に咬む力が集中すること、歳をとることにより歯質が構造的にもろくなること、食べ物の温度差により歯質に寸法変化を引き起こし、エナメル質破壊の原因となること等、数多くの原因が考えられます。これらの因子に咀嚼運動や歯ぎしりによる咬み合わせの力が加わることにより、歯と歯肉の境目の歯質が少しずつ破壊され失われて、くさび状欠損になると考えられます。

 このようにいくつもの原因が複雑にからみ合ってできるくさび状欠損の予防や治療には、咬み合わせの治療や欠損部の「充填<じゅうてん>」や歯ぎしり防止装置の利用などの方法がありますので歯科医にご相談下さい。

 

(最終更新日:2010/3/26)