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歯の健康と清涼飲料水

 近年は街角に数多くの清涼飲料水の自動販売機が置かれて、子どもから大人まで、いつでも、どこでも、手軽にいろいろな飲み物を手に入れることができます。清涼飲料水の種類にしても100%果汁のジュースからスポーツドリンク、お茶や天然水まで多様なものが買える状況です。

 しかし、お茶や天然水以外の飲料はかなり甘味<あまみ>の強い物が多いように感じます。ある公的機関の調査によると、一缶の飲料の中に多い物で40gを越える砂糖が含まれていると報告されています。これはコップ一杯のコーヒーや紅茶に入れる砂糖の6から7倍の量になります。この事実から虫歯との関連を考えないわけにはいきません。食事と食事の間にこのような糖分を多く含んだ清涼飲料水を飲めば、甘いお菓子を間食として食べたのとほぼ同じだけ虫歯になる危険性があります。加えて、飲み物にはたくさんの砂糖が含まれているという認識が、お菓子に対するものほど一般的ではないので、より注意をはらい、なるべくお茶、お水、牛乳などの砂糖を含まない飲み物を飲むようにしましょう。

 もうひとつ清涼飲料水を選ぶうえで注意が必要なものに飲み物のpH<ペーハー>すなわち酸性、アルカリ性の程度があります。コーラや果汁を含むジュース類の多くはかなり酸性の度合いが強く、歯の表面からカルシウムが溶け出すのに十分な酸性度を持っています。ですから哺乳瓶にジュースなどを入れて乳幼児に飲ませる時は特に注意が必要です。例えば、試しにコーラを口に含んで1分間ほどそのままにした後吐き出して、上下の歯をこすりあわせてみてください。ギシギシとした今までと異なった感触が感じられるでしょう。これが歯の表面からわずかながらカルシウムが溶け出た証拠です。でも心配はいりません、この程度の障害は唾液の力で自然に回復します。これら清涼飲料水の問題点は健康に良いと言われているスポーツドリンクでも大きな違いはありません。疲れた体や脳に、ときには砂糖の甘味も必要ですし、発熱時や運動後のスポーツドリンクには意義があります。しかし、その飲み物の成分を考えて、その状況に適した飲み物を選んでください。

 

(最終更新日:2010/3/26)