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歯垢ってなあに?

  近ごろテレビや雑誌などで数多くの歯磨き関連商品の広告が行われています。それら広告の中で、「歯のアカ」と書いて歯垢と読む言葉が使われています。俗に「歯くそ」と呼ばれる歯垢は、口の中に住んでいる多種多様な細菌類の集合したものです。試しにつま楊枝で歯と歯の間や歯と歯肉の境目を擦ってみてください。先端に白いふかふかした苔のようなものが付いてくると思います。

  これが歯垢です。ためしに臭いをかいでみると大変いやな臭いがしますが、健康な人でも、どなたの口の中にも、量の多い少ないはあるものの、いつも存在しています。これを耳かき一杯、重さにして約1mg集めると、おおよそ一億個の細菌がふくまれており、そのうちの四分の一は生きているといわれています。完全に清掃された歯の表面でも8~24時間後には歯垢がつくられます。虫歯の原因菌の一つであるミュータンス菌は食べ物からの糖分を利用して、細菌が歯の表面にくっつくための接着剤となる物質をつくり出します。これを端緒<たんしょ>として丸い菌、細長い菌、糸状やラセン状の菌等が次々に積み重なって、三日程度で歯垢が完成します。

  歯周病の原因となる細菌類も多種類含まれており、歯垢は虫歯ばかりでなく歯周病の原因でもあります。しかし、これら虫歯や歯周病の原因菌を含む歯垢は、外界から体内に侵入した病原菌の集まりではなく、元々口の中に住んでいる細菌たちです。ですから、殺菌薬などで皆殺しにすることはできないものなのです。

  結果として、たくさん歯垢がつもらないうちに歯ブラシを用いて機械的に取り除き、量を減らすことが最善かつ唯一の虫歯や歯槽膿漏の予防方法ということになります。英語で歯垢のことをプラークといい、又、歯の清掃のことをプラーク・コントロールといいますが歯垢を無くすのではなく、量を減らすことを表わした言葉として的を射た表現だと言えるでしょう。

  あなたも歯を赤い専用の染料で染めて歯垢が、どこにたくさん付いているのかを自分の目で確かめることで毎日の歯磨きを効果のあるものにしてください。

 

(最終更新日:2010/3/26)