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大人と子供の虫歯の違い

 日本人が虫歯で歯を失ったり、治療されていたりすることを含めて虫歯になっている割合は文明的にも、経済的にも先進国と呼ばれている国々のなかでも特に高い数字となっています。子供から大人まで虫歯のない人は極めて少数派です。そこで今回は子供と大人でかかる虫歯の違いについてお話します。

 子供の虫歯は歯科に関する知識や関心の高まりから以前のようなひどい虫歯は減っています。しかし食生活の中の砂糖の使用量は増える傾向にあり、虫歯が急激に減る様子もありません。咬む面の溝やシワから始まる虫歯が子供の虫歯の特徴です。歯がはえそろってから数年経つと歯と歯の接点の虫歯が増えてきます。このタイプの虫歯が幼児の乳歯から30歳代の永久歯まで広い年齢層に増えています。20歳代の後半から目立ってくるのが歯と歯肉の境目にできる虫歯です。歯垢が残りやすい場所という条件に加えて、かみ合わせによる力の集中や歯ブラシの誤った使用方法により、歯肉との境目にくさび状のへこみができ虫歯になりやすくなるのです。壮年から老年に向かって多くなる虫歯は歯肉が退いて露出した歯の根の表面にできる虫歯です。歯を一周するエリマキ状や浅く広い面積の虫歯になるのが特徴です。

 子供から大人まで各年齢層によって形の異なる虫歯にかかるようです。これらの形の違いのほかに、子供の虫歯は進行が早く、歯の質がぐずぐずに軟らかくなる割には色がつきません。逆に大人の虫歯はゆっくりと年単位で進行し茶褐色や黒い色がつく割には歯の質があまり軟らかくならない、といった特徴があります。

 どちらの虫歯も原因は虫歯菌とそれを取り巻く環境にあります。歯ブラシやその他補助的清掃用具を使用して細菌のかたまりである歯垢をきれいに取り除き、甘味食品を控えると同時に歯質を強化するフッ素などを応用すると効果的です。また、定期的に虫歯のチェックをして早期発見し、対処することが大切です。