保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

健康ファイルボックス

病気や健康に関する知識をお届けします

TOP > 健康ファイルボックス > 歯科 > 抜けたままの歯ありませんか

抜けたままの歯ありませんか

  不幸にして虫歯や歯周病で歯を失ってしまった方も多いと思いますが、失った歯は何らかの方法で補っているでしょうか。前歯を中心に外見的に目立つ場所の歯を失った場合はそのままにする方は比較的少なく、ブリッジやとりはずし式の入れ歯を作って補います。しかし、奥歯で特にその本数が1~2本と少ない場合には目立たない事と、物を食べる上で実際に不便が少ないことも手伝って歯のないまま放置している方も多いようです。 歯は上アゴの歯と下アゴの歯が適切に咬み合うことと、両隣りにそれぞれ隣り合う歯が並んでいることで、その位置関係や方向を保っています。そこに1本でも歯を失って空間ができると、その空間を小さくする方向に移動してしまいます。

  抜けた歯の奥の歯はその空間にむかって斜めに傾きながら空間を少なくする方向に動きます。また、抜けた歯の上、または下の相手の歯は空間を小さくする方向に、上アゴの歯なら下方へ、下アゴの歯なら上方に向かって伸び出してきてしまうのです。結果として咬み合わせは大きく壊れていきます。

  本人に自覚はできにくいものの、第一大臼歯を一本でも失うと食べ物を咬みくだく能力は半減してしまうこともわかっています。歯を失った方の中には失った歯を補うために両隣りの歯を削るなどの治療の手を加えたくないとか、取り外し式の入れ歯を入れると、バネのかかる歯がダメになる等を理由にそのままにしている方もいるようです。人工の歯を入れることで失うものがあることも事実ですが、長い目でみると放置して失うものの方が圧倒的に多いことが確実です。

  歯を失ったまま長期間放置すると入れ歯をいれる空間すら失なわれてしまいますし、結果的にアゴの関節や筋肉にズレを生じたり障害を起したりします。抜いたままにして良い歯は、不要な親しらず歯や過剰歯ぐらいに限られてます。失った歯はなるべくすみやかに補うことが必要です。