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「歯ぎしり」にご用心

 いびき、寝言、歯ぎしり、と言えば人が寝ている間に出す騒音の代表ですが、今回は歯ぎしりの害についてお話します。歯科診療の中で歯の偏磨耗など、幾つかの徴候を示して「あなたは歯ぎしりをしています」と伝えると、強く否定する患者さんがいます。しかし、一晩の就寝中には短い人でも30分、長い人では数時間にわたり「歯ぎしり」をするとされています。ご自分は寝ているのですから、歯ぎしりをしているという自覚がないのは仕方のない事でしょう。

 

歯ぎしりの種類

 歯ぎしりは大きく分けて三つに分けられます。

●歯をきしませるようにこすり合わせて「ギリギリ」や「キュッキュッ」というような連続的な音を出します。

●上下の歯を断続的に咬み当てることにより「カチカチ」や「カタカタ」と比較的高い音を出すものです。

●ほとんど音を立てずに上下の歯を強く噛み締めたり、くいしばるものです。

 いずれも就寝中以外ではやろうとしても難しい「健康に障害となる運動」です。

 

歯ぎしりの害

 「歯ぎしり」をしている時の噛む力は、意識があっては出せないほどの強い力で、その力の大きさは「歯ぎしり」によりアゴの骨が一時的に変形したり歪んだりする程の強さです。通常、一日三食の食事をする時に直接、上下の歯が接触する合計時間は日本人の平均で約5分前後であるのに対し、歯ぎしりは少なくとも30分、長ければ3時間以上も上下の歯を直接に接触させたままにするのですから、歯や顎の関節、顎の周囲の筋肉や骨に対する影響は計り知れないものがあります。歯がすり減る原因の大部分は「歯ぎしり」によるものであるとの報告もあります。

 

歯ぎしりの原因

 歯ぎしりの原因は精神的なストレスが大きなものであるとされています。(歯ぎしりそのものにストレス解放の役割もあります)その他に上下の歯の咬み合わせの悪さ、アゴの関節やその周囲の筋肉の過剰な緊張とその左右バランスの不均衡等が歯ぎしりを悪化させます。

 

歯ぎしりへの対処方法 

まず、自分がどのような歯ぎしりをどれ程の時間しているかを知り、原因となるストレスを開放する努力や技術(自律訓練法など)を身に付ける方法があります。これと共に「咬み合わせの改善」やナイトガードと呼ばれるマウスピースのような歯ぎしり防止装置を利用する方法もありますので、歯科医にご相談ください。

 

(最終更新 2013/1/28)