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温泉の効用

 わが国では、古来温泉に入って傷を癒すとか、近世ではいわゆる湯治に利用されてきました。明治以降は温泉の科学的研究も進んで、医療効果が認められるようになり、ますます温泉に入ることが盛んになりました。現代では温泉は保養、観光、或いはレジャーにと利用されています。このようにわが国では諸外国とは異なった温泉の利用が行われていますが、ここでは医学的見地から温泉の効用について説明します。

 温泉は25℃以上か、温泉水に無機物質や放射性物質を含むものですが、それらの成分により名称がつけられています。温泉療法は温泉を使って病気を治す方法です。これには入浴したり、お湯を飲んだり、気体を吸入したり、うがいや局所に応用しますが、主として初めの二つです。また、入浴法ではわが国では温泉浴が一般的で、これもその温度によって色々あります。滝浴<たきよく>、蒸し湯、砂湯もあります。その他外国では泥浴<どろよく>などもあります。

 温泉の直接的効果は温熱作用による血液循環の改善や代謝機能の亢進があります。それ故脳卒中後のリハビリテーションを温泉や温水プールで行ったり、運動療法に利用している病院もあります。リウマチや膝の関節炎などにも温泉療法が有効ですが、主治医と相談して下さい。

 連日利用していると温泉浴だけでも色々の成分が皮膚から吸収されて、自律神経系、内分泌系や酵素系に作用し、内臓を刺激して、2?3週間でより良い状態になるといわれています。従ってビタミン、栄養素などの吸収促進、有効活用、また薬の効き目を高めるので、病気によいと言われています。

 その他病気の治療ばかりでなく精神的、肉体的健康の増進、疲労回復などにも役立つとされています。

 温泉の効果を短期間であげようと欲張ると皮膚のかぶれや湯あたりなどを起こし、病状を悪化させ、逆効果になることがありますので、温泉療法の心得に従う必要があります。