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食べながらやせよう?

 皆さんは痩せようと思ったときに食べるのをやめれば痩せることができる、と考えていませんか。減量に取り組む多くの方は早く結果を出したいためほとんど物を食べないという極端な減量に走ることがあります。この食べないで急激に痩せる、という事は体にとっては良いことではありません。すなわち脱水により血液が濃くなる事による心臓への負担、エネルギーとして消費されるための筋肉の減少、糖質の減少による血液の酸性化などが起こり、体に大きな負担がかかります。さらに極端な食事制限をしながら運動すると、筋肉や骨などに障害を及ぼします。

 やせる、ということは体についた脂肪を減らすことで達成できます。では脂肪を減らすにはどのくらいエネルギーの消費が必要でしょうか。1グラムの脂肪をもやすには8キロカロリーの消費が必要です。体重1キロ痩せようと思ったら8000キロカロリーのエネルギーを消費しないといけません。これは普通の人が170キロメートル走る運動量に相当します。ですから運動でやせようと思っても、そう簡単に痩せることはできません。また運動のやりすぎはむしろ体にとってよくありません。そこでやせるために運動だけではなく食事制限を行わないといけませんが、先に述べたように極端な食事制限は健康にいろいろな問題を引き起こします。

 体の健康を保ちながら筋肉の量を落とさず脂肪を減らす、というためには一日に体重1キロ当たり1.2グラムのタンパク質をとる必要があります。ご飯、パンなどの炭水化物を極端に制限すれば痩せると思いがちですが、炭水化物を食べないと代わりに体の筋肉がエネルギーとして使われ、筋肉の量が減ってしまいます。また健康を損ねず体重を減少させるには最低1500キロカロリーの摂取は必要で、このために一ヵ月の減量の限界は4キロまで、とされています。

 個人差がありますが、基本的には蛋白質、乳製品、果物と野菜、穀類をバランスよくとって一日2000キロカロリー以下1500キロカロリー以上の間で食事摂取をしていれば次第に脂肪は減っていくはずです。さらに軽度の運動を加えると効果的です。

 無理なくやせるため、食べながらゆっくりやせましょう。