保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

健康ファイルボックス

病気や健康に関する知識をお届けします

TOP > 健康ファイルボックス > その他 > 熱中症

熱中症

 高温多湿の環境下に長時間さらされると、体温やイオンバランスに異常をきたし、危険な状態に陥ります。この障害は重症度や発生の仕方から熱痙攣<ねつけいれん>、熱疲労、熱射病の3つに分けられますが、まとめて熱中症とも呼ばれます。

 「熱痙攣」は最も多く見られるもので、熱い所での激しい労働や運動中に主に足から起こる、コムラガエリに代表される筋肉の痛みを伴うけいれんです。

 「熱疲労」は俗に日射病として知られるもので、暑さで血管が拡がる為に起こる低血圧と汗で水分を失う事、即ち脱水が重なって、血管の中を流れる血液の総量が不足し大量出血と同じ様なショック状態に陥るものです。

 「熱射病」は熱中症の中で最も重く、身体の熱の産生が汗等による発散では処理しきれなくなり、蓄積されるためにおこります。そこで、脳の体温調節中枢が正常体温を誤認して汗が止まるなどの悪循環に拍車が掛かり、結果として体温が41度を過ぎることもあります。そのため、血液や筋肉が障害を受け、体の中の多くの部分が働かなくなります。さらに意識障害等の危険に及ぶ事さえあります。日本でもこの20年で100人位の死亡者が出ています。

 不幸にもこういった熱中症に陥ってしまった場合、軽ければ日陰で休ませて冷たい水と少量の塩分を与えればよいのですが、意識障害や頭痛などを訴える場合には救急車を呼び速やかに大きな病院に運びましょう。そこで予防が大切となります。高温環境下での作業や運動の前にはイオン飲料等で水分を補給し、このような場所には長時間居ない様にしましょう。

 尚最近、間違ったダイエット法として水分をとらずにサウナスーツを着て運動したり、熱風を当ててマッサージしたりするものがあります。これらは汗として体内の水分を絞り出す事により、使用後の体重は2?3キロ減りますが、熱中症を起こし易く、むしろ危険で効果はありません。また、嘔吐を伴う場合には、脂肪を燃焼させるタイプのイオン飲料は避けましょう。