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てんかんと自動車運転

 てんかんは、大脳の神経細胞の電気的な流れが突然乱れることによって、さまざまな症状(てんかん発作)が引きおこされる病気です。てんかんを持つ人の割合はおよそ100人に1人といわれ、決してまれな病気ではありません。また、子どもの病気というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、高齢化社会に伴って、高齢になってからてんかんを初めて発症する人が増えてきています。てんかんがあることで自動車運転が一律に禁止されるわけではありませんが、運転中に発作がみられると危険なため、免許の取得や更新には一定の制限があります。ここでは、てんかん患者さんの自動車運転に関して、ぜひ知っておいていただきたいポイントを解説いたします。

 てんかんのある人が運転免許を取得、また更新するためには、「運転に支障が生じるおそれのある発作が2年間ないこと」 が条件です。薬の服用の有無は関係ありません。

 なお、この条件を満たせば、運転に支障するおそれのない発作(単純部分発作など)がある場合には1年間以上、睡眠中に限定された発作がある場合には2年間以上の経過観察をして、今後、症状悪化のおそれがない場合には、取得・更新が可能です。

 ただし、大型免許と第2種免許(乗客を運ぶ目的で旅客自動車を運転する時に必要となる免許)については、5年以上薬を飲まなくても発作がなく、その後も再発のおそれがない場合以外は取得できません。また、運転を職業とする仕事はおすすめできません。

 免許申請(取得と更新のいずれも)に際しては、てんかんの病気があることを申告して、主治医に診断書(公安委員会指定)を書いてもらい、その診断書を公安委員会に提出する必要があります。

 免許取得や更新時の質問票に虚偽の回答をした上で事故を起こすと、罰則が科せられることがあります。規則にのっとって病気や発作の状況について自主申告した上で免許を取得して、運転をすることは、社会の一員としての責任です。ぜひ、守ってください。

 詳しい内容につきましては、最寄りの警察署の運転免許窓口や運転免許センターにお問い合わせください。

 

(最終更新:2019.11.5/都甲 崇)