神奈川県保険医協会は「医療費の窓口負担『ゼロの会』」の発足にあたり、1月29日、2月3日と県庁および厚労省の記者クラブで記者会見を行なった。会見には、神奈川新聞、テレビ神奈川(以上、県庁)、NHK、北海道新聞ほか2社(以上、厚労省)が参加し高い関心が示された。
会見では池川明氏(保険医協会医療運動部会長)が、「ゼロの会」の目的と運動方向について説明。患者負担が過重となり受診抑制や治療中断が起きていることに触れ、患者救済のため窓口負担の解消を求め、そのため法律改定、立法化を射程においているとした。とりわけ諸外国に比べて患者負担が日本は異常に突出している点を力説した。
記者からは、ゼロの会の活動内容、政治問題化のプロセス、医師不足や医療経営問題などについても広く質問が出された。
これらに対し、池川氏は、賛同書と署名つきのカラーリフレットの医院窓口・諸団体を通じた配布のほか、シンポジウム開催や街頭キャンペーンなどの計画予定を紹介。また、広範な世論形成のため、著名人賛同や医療・福祉団体、学者などの賛同を追及するとともに、政治的に影響力が出る1千万人分の署名が鍵を握るとした。全国の市町村の三分の一から提出された場合に政府は何らかの対応をせざるを得ない、市町村議会からの国への意見書提出も働きかけていくとした。
神奈川新聞の論説委員からだされた、産科・小児科の医師不足問題については、池川氏が詳しく説明。この問題も深刻であり欧米諸国に比べて低い医療水準が元凶であるとし、過日、神奈川県内で倒産した病院も診療報酬のマイナス改定のためだと指摘した。
これら深刻な問題の解決のために医療費総枠の拡大が必要であるが、患者負担が解消されない限り比例して患者負担も増大し矛盾が大きくなると解説した。
(神奈川県保険医新聞 2007年2月15日号より)