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カルシウムと健康

最近は食生活が豊かになり、かって日本の食卓にたえずあった煮干しや小魚は消えて、体内のカルシウムを奪ってしまうインスタント加工食品が益々増える傾向にあります。カルシウムは、健康な体づくりに欠かせないことはご存知の通りです。カルシウムの大部分は、骨や歯などの硬い組織になり、残りの1%前後が腎臓や血液の中に含まれています。このカルシウムはビタミンなどの栄養素と同じく、食べ物から吸収され、血液によって体の組織に運ばれます。骨にあるカルシウムは、蛋白質と結合して強い骨格を形成します。血液やリンパ液等の体液のカルシウムは、体液を弱アルカリ性に保ち、腸管から吸収された栄養素をスムーズに各細胞に運ぶ役目をしています。このようにカルシウムは、骨や歯の主成分として体を支えると共に、血液に溶けて全身をめぐり、細胞の働きを活発にして、酵素の働きを助けています。この重要な栄養素であるカルシウムは、胃の酸度低下、肝臓の機能低下、ビタミンD不足の場合には全摂取量の50%しか体内に吸収されません。また骨は、一度できたら容易に変化しないように見えますが、常に蓄積と排泄を繰り返し新陳代謝をしています。骨の老化予防は、この代謝の最も盛んな8~15歳頃から行う必要があります。激しい筋肉運動の後では糖質や脂肪等が変化して、体液が酸性化します。すると、体液のバランスを回復するためカルシウムが使われます。血液のカルシウムが一定量以下になると神経いらだけいれんが興奮して苛立ち、更に進行すると筋肉の強直や痙撃が現れヒステリーからテタニーとなります。血液の中のカルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンが作用して骨のカルシウムが血液中に溶けだして、血中の濃度を一定にしますが、体が老化してくるとこの働きが悪くなり血液中に必要以上のカルシウムが溶け出して排泄され、余分な量が血管に沈着して動脈硬化を招きます。健康な体作りには、子どもの時からカルシウムが多く含まれている小魚、ひじき等海草類、大豆及び緑色野菜、牛乳などを食べるようにしましょう。

カルシウム不足はバランスのとれた食生活を守れば考えられているほど不足になることはまずありません。日常の食生活の工夫が必要と思ってください。