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胃・十二指腸潰瘍と言われたら

 この二つの潰瘍はまとめて消化性潰瘍とも言われます。ここで言っている消化性潰瘍とは、従来いわゆる慢性潰瘍といわれている病気を指しています。

 一週間も胃の痛みが続いていて、医療機関を受診したら胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍の疑いがあるなどと言われたら、どのようにしたらよいでしょうか。

 まず胃のX線検査や内視鏡検査つまり胃カメラ検査を受けましょう。そして胃潰瘍や十二指腸潰瘍すなわち消化性潰瘍があるかどうか、はっきり診断してもらいましょう。

 これらの検査は単に胃や十二指腸に潰瘍があるかどうかを見るだけでなく、その部位や潰瘍の性状、新しいものか、再発したものかなどをよく見ます。また出血しやすいか、潰瘍が深くて孔があきやすいかどうかなどをよく観察します。これらのことを総合して今後の治療方針を決定します。 また、胃潰瘍の場合にはできるだけ潰瘍の性質すなわち良性の潰瘍か悪性の潰瘍か、つまりがんであるか、一部にでもがんが潜んでいないかどうかを調べる必要があります。実際には、胃カメラを通して胃の粘膜を小さく摘まみ採って顕微鏡で検査をします。その結果によっては治療方針を変えなければならないこともあります。ただし、この組織検査は最初にではなく、後日行なう場合もあります。

 では消化性潰瘍はどうして発生するのでしょうか。今一番有力な説は、サンとシェイの天秤説です。すなわち天秤の片方の皿には攻撃因子が、反対側の皿には防御因子が乗っていて、バランスを保っているので安定しているが、そのバランスが崩れると潰瘍が発生するということです。攻撃因子としては、胃液の塩酸と強力な消化酵素のペプシンです。また消炎鎮痛剤などの薬物などがあります。最近、いわゆるピロリ菌も有力な因子であることが分かりました。防御因子では胃粘膜と粘液、生理的活性物質というプロスタグランジンなどです。最近の潰瘍の薬物治療はこのような説に基づいて、強力な酸分泌抑制剤と言われる薬の服用で潰瘍は非常に速くよく治るようになってきています。

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