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過呼吸症候群

 突然呼吸の回数が多くなり、息苦しくなって、脈が早く打つようになる、口の周囲や手足がしびれ、時には全身の筋肉がピクピクと痙攣する症状で一種の興奮状態に似た、女性に多い良好な病気です。

 医学的には「酸素取り込み過ぎ」によるものと考えられます。多くの場合、色々な不定愁訴や情動不安定に原因すると言われてます。また、光化学オキシダントを吸い込んだ場合の一つの症状として現れてきて、大気汚染と関連するという報告もあります。過呼吸状態になると動脈の中を流れている炭酸ガスの濃度が低下してしまいます。炭酸ガスは全ての血管を拡げる作用がありますから炭酸ガスの割合が減ってしまうと、動脈が拡張したままになって、脳や肺の血流量が減ってしまいます。頭痛、イライラ、息切れ、呼吸困難、失神といった症状が現れてくるのはそのためです。

 そうなると交感神経が刺激されて、心臓が早鐘をつくように拍動し胸苦しさを増し痙攣をおこす、いわゆる呼吸性アルカローシスという症状に陥ってしまいます。

 気管支喘息の時の呼吸困難と似ているためか、救急車のなかで酸素吸入をしてかえって症状を重くしてしまうこともあります。胸部レントゲンが正常であることや動脈血ガス分析から、医師にとっては診断は容易です。

 紙袋やビニール袋の大きなもので口と鼻をおおって、患者の出す息を再呼吸させる方法で症状は改善されます。鎮静剤を与えて不安をとってしまうと、やがてケロりと治ってしまいます。発作を繰り返す場合は抗不安薬などを飲んだり、精神状態を安定させる運動やスポーツなどを行いぐっすり眠れる環境作りを心がけるとよいでしょう。