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高齢者と消炎鎮痛剤

 高齢者では一般成人より薬物の副作用が出やすく、それは薬の吸収や体内分布や排泄などの面から老人は通常とは違った変化が起きやすいことが原因てす。70歳代の薬物副作用の発現頻度は20才代に比べると7倍近いことが知られています。

 最近高齢者の薬物療法は注意が必要といわれています。人口の高齢化は急速に進んで色々な病気をかかえた老人が薬を使う場合が多くなったためです。

 特に高齢者では変形性関節症、肩関節周囲炎、骨粗鬆症などの老人性の病気や小さな捻挫とか打撲などの積み重ねで発症している疼痛性、炎症性疾患の多く色々な薬が使われる傾向があります。そのため、医師の処方する非ステロイド抗炎症薬や薬局で購入できる一般医薬品の内の鎮痛消炎剤の使用は急増しています。この薬剤は高齢者程副作用を起こしやすい薬の一つといわれています。一般には加齢による生理的変性を促しやすいこと、いずれもが老人特有の薬剤に対する耐用域の低下、そして理解力、判断力の低下から間違った使い方をしやすいことなどを考えて注意深く服用すべきと言われています。消炎鎮痛剤は多くの場合病気の原因に対するというより症状を抑え補助薬の働きをしていると考えられます。ですから解熱を目的とする場合はアスピリンを用いるのがやはり原則的で、坐薬を高齢者に使うとショックや心不全を招くことがあることなどが一つの例といえましょう。

 この薬を使うとどんな副作用があるのだろうか、この薬はどんな作用があるのだろうか、服用法は医師の指示通りだろうか、量は多すぎないだろうか、症状が治ってからどのくらい続けるのだろうかを十分理解して使用するのが特に消炎鎮痛剤の場合必要であることを知ってください。